草案を確定する
AIが作った議事録の草案を、記録として確定するまで
制作・更新:株式会社ENWAVE監修:北村陽朗(株式会社ENWAVE 代表取締役/2017年から障害福祉事業所を運営)更新
AIが出した議事録は、まず確認中の草案として扱います。会議に出席した職員が事実と決定事項を照合し、共有範囲を確認してから事業所の記録にします。WelWorkの議事録画面を使い、どの順番で、どの文章を、どう直すかを具体例で説明します。
この記事で分かること
- 草案から記録へ進む確認の順番が分かる
- 事実・本人の言葉・解釈を分けて直せる
- 確定後の訂正を、経緯がたどれる形で残せる

会議詳細の議事録タブ。会議情報と本文を照合し、草案の内容を職員が確認します。
2026年9月15日撮影。架空データを登録したテスト事業所の画面から、本文に関係する部分を掲載しています。 表示や操作できる内容は権限・提供条件により異なります。
画面を拡大する(別タブ)草案と記録は別物として扱う
文字起こしも、そこから作られた議事録も、確定するまでは下書きです。下書きの段階では間違いが含まれている前提で扱い、確定した記録とは保存場所も見た目も分けておきます。同じ画面に混ざっていると、どちらを根拠にしたのかが後から分からなくなります。
確定した記録は、あとから内容を書き換えるのではなく、訂正した履歴が残る形にしておくと安心です。誰がいつ何を直したかが残っていれば、指摘を受けたときに説明できます。
確認する人と、順番を決める
確認の担当を「その会議に出ていた職員」にすると、事実の取り違えを見つけられます。出ていない人が読んで日本語を整えるだけでは、間違いはそのまま通過します。
順番は、①会議に出ていた職員が事実を確認する → ②管理者が共有範囲を確認する → ③確定、の 3 段階が扱いやすいです。小規模な事業所では①と②が同じ人になりますが、その場合も「事実の確認」と「共有してよいかの確認」を分けて見ることが大切です。
議事録画面で行う、確認の順番
WelWorkで対象の会議を開き、会議のタイトルや日時を確認してから「議事録」を読みます。別の会議の資料を参照していないかも最初に確かめます。画面上で本文を直す際は、表現を整える前に、内容の誤りを修正します。
確認できない情報が残っている場合は、文脈から補わず、確認先と未確認事項を整理します。支援内容の採否や利用者の状態をAIに決めさせず、支援に関わる職員が根拠を確認してください。
| 順番 | 見る場所 | 確認例 |
|---|---|---|
| 1 | 会議情報と氏名 | 会議日・参加者・対象者は合っているか |
| 2 | 数字と日時 | 「次回」が何の会議を指すか |
| 3 | 結論の文末 | 提案を決定として書いていないか |
| 4 | 宿題 | 担当・期限・確認内容が合っているか |
| 5 | 共有する本文 | 必要な相手に必要な情報を届ける範囲か |
事実と解釈を書き分ける
AI が作る草案は、発言をまとめる過程でどうしても解釈が混ざります。「利用者Aさんは作業に集中できていなかった」は解釈で、「30 分で 3 回離席した」は事実です。記録に残すときは、観察した事実を先に書き、解釈はそれと分かる書き方にします。
支援の方針や利用者の状態についての判断は、AI の出力をそのまま記録にしないでください。判断するのは支援に関わる職員であり、根拠となる事実を記録に残すのは人の仕事です。
会議に出ていない人が読む前提で整える
議事録は、その場にいなかった職員が読んで行動できることが目的です。略語や「例の件」といった言い方は、確定前に開いておきます。決まったことと、誰がいつまでに何をするかが分かれば、長さは短くて構いません。
逆に、会議で出た個別の支援内容を全職員向けの議事録に書くかどうかは、事業所で線を決めておきます。必要な情報が必要な人にだけ届く形が理想です。
続けられる運用にする
確認の担当が曖昧だと、下書きがそのまま残り、確認済みかどうかが分からなくなります。会議の終わりに確認担当と予定を決め、未確認の部分を引き継げるようにします。小規模な事業所でも、事実の照合と共有範囲の確認を別の観点として扱います。
運用を始めたら、繰り返し直している箇所を見返します。専門用語は辞書、数字は会議資料、決定事項は会議の締め方というように、原因ごとに見直せます。文章を直す作業だけを増やさず、次の会議の準備へ反映することが大切です。
修正例:観察した事実と、職員の見立てを分ける
架空の草案に「本人は作業への意欲がなく、離席した」と書かれていても、会議で確認したのが離席の回数だけなら、意欲の有無は確かめられていません。「作業中に離席があり、本人は『少し休みたい』と話した。職員が休憩場所を案内した」のように、確認できた事実と本人の言葉を先に残します。
職員の見立てを残す必要があるときは、「職員は〜の可能性を考え、次回本人へ確認する」のように、誰の見立てで何が未確認かを示します。この例は文章の整理方法を示すもので、支援方針の推奨ではありません。方針は本人の意向や状況を踏まえて人が判断します。
実務で使う確認リスト
- 会議に出た職員が事実を確認した
- 未定事項を決定事項にしていない
- 確定した人と、訂正がある場合の経緯を残した
よくある質問
- AI が作った議事録を使うことを、利用者や家族に説明する必要はありますか?
- 録音や AI 処理を行うことは、事業所の個人情報の取り扱いとして説明できる状態にしておくのが安全です。説明の範囲と方法は、事業所の規程と、指定権者の指導内容にあわせてご確認ください。
- 記録の責任は誰にありますか?
- 事業所にあります。AI はあくまで草案を作る道具で、記録としての責任を負うことはできません。だからこそ、確定した人が分かる形で残す運用をおすすめしています。
- AI が事実と違うことを書いていたら、どう直せばよいですか?
- 草案の段階で直してから確定してください。確定後に誤りが見つかった場合は、元の記録を書き換えるのではなく、訂正した内容と訂正日が分かる形で残すのが基本です。
この記事と画面について
WelWorkの実装を確認して編集しています。画面・記載例の人物や記録は架空で、利用実績や効果を示すものではありません。制度上の要件や手続きは、事業所に適用される指定権者の最新の案内をご確認ください。
北村陽朗株式会社ENWAVE 代表取締役
2017年から障害福祉事業所を運営し、記録・会議・行政への提出物・人員配置の確認に追われてきた経験をもとに、WelWorkを開発しています。